はじめに

 

はじめに

癌原性物質の多くはDNAに作用し、突然変異を起こすことが知られております。このことより細胞の癌化は、遺伝子の機能変化・発現調節の異常等・遺伝子(DNA)レベルの反応が関与していると考えられており、これらの癌原性物質を検出するために変異原性試験法は、DNAに作用する種々の特長を利用していろいろな方法が工夫されております。
現在、微生物を用いた変異原性試験の主流はAmes試験(細菌による復帰突然変異試験)ですが、umuC’-’lacZ融合遺伝子を導入したサルモネラ菌を用いる短期変異性試験umu試験(試験管法)は、Ames試験で測定が不可能なヒスチジン含有物質でも試験できることより、尿・血液・粗抽出物・食品等の試料にも適用できる特長を有しております。
本製品はテスト菌株サルモネラ菌NM2009株を用いたumu試験(マイクロプレート法)をキット化したものです。
このテスト菌NM2009株は従来使用していたサルモネラ菌TA1535/pSK1002株に、O-acetyltransferase遺伝子を導入したことより、特にニトロアレーン(芳香族ニトロ化合物)や芳香族アミン類に高い感受性を示します。

本法はumuC’-’lacZ融合遺伝子を導入した、NM2009株を用いて以下の反応が起ります。

  1. まず、変異原によって菌のDNAへの損傷が生じ、SOS遺伝子が誘発されます
  2. 一連のSOS遺伝子群のうち、突然変異に直接関与しているumuC遺伝子の発現を、umuC’-’lacZ融合遺伝子の発現として作用が行われ、その産物であるumuC’-’lacZ雑種タンパクが産生されます。
  3. このタンパクはβ-galactosidase酵素活性を有しますので、酵素発色基質X-Galを用いて青色の発色の強弱を指標として変異原性を測定いたします。

【テスト菌株(NM2009株)について】
NM2009株は第2相薬物代謝酵素であるアセチル転移酵素(O-acetyltransferase)高産生株で、サルモネラ由来のアセチル転移酵素遺伝子を宿主のネズミチフス菌TA1535/pSK1002株に導入して作製した菌株です。
このNM2009株では、ニトロアレーン(芳香族ニトロ化合物)が、菌体内のニトロ還元酵素により還元され、さらにこの株の特徴である高産生されたアセチル転移酵素によりアセチル化された後、その最終代謝産物(ニトレニウムイオン)がDNAに損傷を与えることにより、高感受性を示すようになります。
一方、芳香族アミンは、第1相薬物代謝酵素の酸化酵素チトクロームP450により水酸化され、さらにアセチル転移酵素によりアセチル化されて、上記と同様な代謝を受けることにより高感度に検出できるようになりました。
代表的なニトロアレーン(芳香族ニトロ化合物)としては1,8-dinitropyrene (1,8-DNP), 1,6-DNP, 1,3-DNPや1-nitropyrene
(1-NP)などがあり、芳香族アミンとしてはTrp-P-1, Trp-P-2、IQ, MeIQ, Glu-P-1などです。

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